「莉子、綺麗な字でいいなぁ。やっぱ印刷にすれば良かったかな…。こんなにあるし」


「これくらい手書きじゃないと」




週末、仕事を終えて誠さんの家に泊まりに来た。彼は実家を出てワンルームで一人暮らしをしている。

親の会社で働いている分、公私混同しないためだそうで、就職と同時に家を出たらしい。


私たちは結婚式の招待状の宛名書きをしていた。私の分はそんなにないけれど、誠さんは家柄もあって圧倒的に多い。
もちろん私も手伝う。



あれから大輔さんの風邪は完治したらしい。

それでも金曜日は会わなかった。
誘いがなかったし、私からは連絡しない。
会わないならそれが一番、お互いのためだ。




「ねえ、莉子。この前の夜、莉子がモダンなマンションから出てくるの見たんだけど、仕事だったの?」



夜…。

大輔さんのマンションから帰るところしか考えられない。



「えっ?うん、そう。配達にね。直帰でいいって言われてたから電車で行ったの」



まさか見られていたなんて。

顔が引きつりそうになってしまうのを何とかこらえる。
あの日も制服だったし、普通にしていればバレるはずはない。