9月に入っても変わらず暑い毎日だ。


大輔さんと出会った頃よりも伸びてきた髪をポニーテールにする。




リビングに向かうと母が朝食を用意してくれていた。

工場は忙しさが落ちついたようで父もいる。


この家で暮らすのもあとわずか。結婚式の前には新居で誠さんと暮らし始める。




「莉子、来週だったよな?向こうの親御さんとの会食」


「うん、来週の日曜日ね」


「母さん何着て行こうかしら」



来週末、互いの両親を交えてランチをすることになった。誠さんのお母さんからの誘いで、親同士の親睦を深めようということになったのだ。

いよいよだと身に染みる。自分のことなのに現実味がない。




「それにしても素敵な人と結婚が決まって嬉しいわ。工場を立て直せたのも誠くんのおかげだし、その人と莉子が結婚するなんてね」


「そうだなぁ、莉子はツイてる」




両親の何気ないやり取りに、何とも言えない気持ちになる。

両親は知らない。私と誠さんの間で何があったのか。もちろん言うつもりはない。自分で決めたことだから。