また、先生が朝迎えに来てくれて、私がお弁当を作るという幸せな日々が戻った。


先生が私のお弁当を食べたいって言ってくれたんだ。
それが私の中の唯一の自信になっていた。

看護師さんは冷たいし、私なんかがっていう劣等感も変わらない。

でも、そんな中に少しだけ、朝の助手席とお弁当係は譲りたくないっていうそんな気持ちが芽生え始めていた。

いつもは劣等感ばかりだったのに、こんな気持ちは初めて。



少しは強くなれたのかな、と思った。










それから先生から、お弁当のお礼と痴漢の件の謝罪を込めて、と以前も言っていたご飯に誘われた。


一体どんなところに連れていかれるのか気が気じゃない。

そんな私の心情を察したのか、先生が笑って何も気にせずいつも通りでいいと言ってくれた。
そんなに気にするなら大層なところいかないから、と。

その時は、そっか、先生も庶民的なところ行くんだな、なんて思って少し安心していたのに……。


まさか、あっさり裏切られるなんて……。







約束の日は休日の土曜日だった。

今日は日勤帯の当直で夜の7時には行けるからとのこと。

それまでに、ここに寄って来ておいて欲しいと言われた。

メールには2つのお店の名前と電話番号、時間まで指定されて送られてきた。

そしてURLで地図も添え付けされて。

地図を見て驚く。
だってそこは数多の高級ブランドショップが立ち並ぶ高級街だったから。

こんな高級街行ったことがない。
そしてこれからも訪れるようなことはないと思っていた。

そんな、私の人生では一生関わり合いのないであろう場所に。



そ、そこに、1人で行けというんですか?
一体、行って何をしろっていうんでしょうか……?

先生、
これは一体何の試練なんでしょうか?


先生、どうかバカな私にも分かるように説明してください……。


と、言えるものなら言いたかった。

しかしメールともなると、更に言いたいことが言えなくなる。

数十分、うーうー、唸りながらやっと「はい、分かりました」とだけ送った。



横文字の洒落た名前のお店。

一体なんのお店なんだろう……?

不安で不安でしょうがない。




この作品のキーワード
医者  病院  身分差  地味子  イケメン  片思い  シンデレラ  ドン底  プロポーズ  結婚 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。