古本屋のあにき
手伝い
日曜日の昼間、2つ上の幼馴染、涼介がやっている古本屋の前を通ったら、呼び止められた。
 
「小遣い稼ぎしないか?」
 
 話を聞くと、本棚のひとつがぐらぐらするらしい。たぶん土台がだめになった。
危ないから撤去したいが、すごい本の量のために手伝って欲しいと言われた。
 
「いくら?」
 
「え?」
 
「時給」
 
「えーっと……500円」
 
「安っ」
 
「頼むよ、もっと払えるなら、俺だってちゃんとしたバイト雇うよ。でも、金がないからお前に頼んでんじゃん」
 
 涼介は、去年亡くなった両親が残した、たった一つのこの店を、どうしてもなくしたくなくて、行っていた大学を辞めてまでこの店をやっている。そんな事情さえ知らなきゃ健だって引き受けはしないだろう。
 
「……わかったよ。」
 
「わるいな、じゃあ、400円で頼むよ」
 
「おい、値下げすんな」
 
「まあまあ、細かいことは気にすんな。今日の売上次第ってやつだな。お、さっそくお客さんだ」
 
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