グレープフルーツを食べなさい
「てゆーかさあ、三谷さんって何なの?」

 ああ、と思った時は遅かった。

 『朝一のお茶はやっぱ三谷ちゃんのじゃなきゃあ』が口癖の野々村部長のために、朝のお茶を淹れようと給湯室に入りかけた時だった。

「いい年して、いつまでここに居座る気?」

 ズケズケと痛いところを突いてくるのは、多分入社三年目の相良美奈子だろう。

「まああの見た目じゃ、相手にする人なんていないだろうけどね!」

「ちょっ、美奈子ひっどー!」

 口ではそう言いながらも、美奈子の毒舌にカラカラと笑う取り巻きの二人。

 朝の給湯室は、陰口と噂話のオンパレードだ。

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