新居で待っているはずの瑠依のスマートフォンを何度鳴らしても、彼女が出る事はなく留守電に切り代わるだけだ。

会社から家に向かう車の中で小さくため息を吐いた。

明日から結婚休暇に入ると言っていたから、同僚たちと飲みに行っているのだろうか。

それなりに責任のある仕事をしていると、照れながら言っていた彼女だけれど、俺との結婚を受け入れてすぐに、会社を退職する事を決めた。

けれど、後輩への仕事の引き継ぎに手間取り、結婚後も二か月は仕事を続ける事になっている。

会社を背負う運命にある俺を支え、自分が必要とされるときには自分の時間を全て俺の為に使えるように、仕事は辞める。

何でもないようにあっさりとそう言って、翌日には退職の意思を上司に告げていた瑠依。

無理矢理決められた結婚なのに、仕事を辞めて俺の人生を受け入れてくれた彼女の強さに、更に俺の気持ちは瑠依から離れられなくなった。

この一年、瑠依を求めてやまなかった俺の気持ちが、これ以上瑠依に向かう事はないだろうと思っていたが、それは間違っていた。

彼女を知れば知るほど、彼女に惹かれていく。

そして、瑠依にとって俺との結婚が幸せなものになるよう、大切にしていきたい。



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お見合い  政略結婚  溺愛  すれ違い  片思い 

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