直也は電話を完全無視して、あたしの唇に何度も何度も軽いキスを繰り返しながら深く濃厚になっていく。

一度、唇を離した直也が、

「やっぱ電話の相手気になるな」

なんて言い出した。

「掛け直していい?」

直也はわざと言っているんだ。
あたしがすっかり“その気”になったことが分かって、焦らそうとしている。

「掛け直したら」

「由里子がそう言うなら掛け直して来るよ」

直也がスーツのポッケからスマホを取り出した。

「取引き先からなら長電話になるかもな」

「仕事帰ってきてから、また仕事の話なんて大変だね」

直也はあたしに“掛け直さないで”と言って欲しいんだ。

挑発に乗らされてるみたいだ。