SweetS Time ~君は果実~
あの唇が、もし俺の口に積極的にキスをしてきたら……もし、あの唇が俺の大事な……いやいやいやいや、そこまで考えるな俺。

理子との関係は軽々しいものじゃないからそっちのほうはスローペースで……って、また理子の動く口もとを見ては淫らなことを考えている俺は不謹慎だ。
いや、男である以上仕方ないんだ。
好きな彼女を前に、当たり前の反応なんだ。
むしろ健康的なんだ。

ディープキスではなく、正確には食べている、が正解なのだが、今の一樹は嫉妬に燃えていてそれどころじゃない様子。

「あぁ……とろける……!」

マンゴープリンにうっとりと理子はため息をつく。

「………」

そんな顔でいわれたら……。

「………」

「あれ、一樹?」

だんまりと口を閉ざしてしまった一樹に、スイーツに夢中だった理子もさすがに気づいたららしい。
顔を上げて恋人の様子を伺う。
どこか影を含んだ不敵な笑みが浮かぶ口もと。

「い、一樹……?」
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