エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
第5章 切ない恋をしよう
まさか3発目のパンチが葵から飛んでくるとは思わなかったのだろう。

びっくり眼で葵を見上げたが、その裕也の視線を無視して葵は店を出ていった。

「それじゃ、僕も行くわ」

その後姿を目で追いながら、沃野も席を立った。

そして有難う」というさやかの声を左耳に捕えながら、葵の姿を追いかけた。

店を出て左右を見渡すと、数メートル先を歩く葵の後姿が見える。

黒やグレーの暗い色目の洋服のなかで、葵のクリーム色のジャケットは目立っていて、その姿はずんずんと進んであっという間に遠くなっていく。


沃野は小走りでその姿を追い、近距離まで来るとゆっくり近づいた。

「葵さん」
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