窓から見える月が、あの日を思い出させる。

泣いていたわたしを、ただただ黙って優しく抱きしめてくれた秋くんの温もり。

あのときを境に秋くんへの思いは強くなって、いまも忘れられずにいる。

クッションに寄りかかって、足を伸ばして座った美雪は、自分の手元に視線を移す。そこには幾度も開いては閉じてを繰り返し、ボロボロになってしまったメモが握られていた。中に書かれているのは、キレイな文字で書かれたメールアドレスと、携帯番号、最後に秋と名前が書かれたサイン。メルアドも番号も、見なくてもいつの間にか覚えていた。それでもお守りのようにいつもそばに置いていた。
秋につながる唯一のものだから、少しでも身近に感じていたかったのだ。

イタリアから帰って、何度も連絡をしようとした。けれど、テレビや雑誌であなたを見ては、携帯の番号を押すのをためらった。
日本に帰ってきて、秋くんは遠い存在になってしまった。
冷たくあしらわれたらどうしよう? そう考えるとメールするのが怖かった。


会いたいーーー。


想いは強くなる一方なのに、連絡が出来ない。

「秋くん……会いたい……」

あの日から3ヶ月。
想いは募るばかりで、仕事も手に付かないほどだった。

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