君色-それぞれの翼-

入学試験


―――――――


テレビばっか見て餅ばっか食べて。


当然今年の冬休みも





そんな感じで過ぎて行くんだろうな、って思ってた。




*********


「希咲、あんた塾何日から始まるか分かってる?」
友達からの年賀状がだいたい届いてきた今日。毎年の様にテレビの前で横になるあたしにお母さんが聞いてきた。
「えー、どーせ冬休み明けでしょ?」
そう言ってチャンネルをコロコロ変える。
するとお母さんはあたしの手からリモコンを奪い取り、テレビの電源を切った。
「受験前にそんな余裕ある訳ないでしょ!!4日からよ!!明日から!!」

「は?」

お母さんの言葉に、あたしは言葉を失った。



鏡で自分の顔を見てみると、寝過ぎだろうか、浮腫みが酷い。

髪の毛もボサボサで、人に見せられる姿では無かった。


「…酷い顔……。」


思わず口にした言葉に虚しさを覚えた。




年賀状を書く際に戦場と化した机から、塾のテキストを掘り出す。
引っ張り出したと同時に山崩れが起き、あたしは何度も放心状態になった。


「……片付けなきゃ…」

年末にしなければならない大掃除を、何故か年始にする。よく考えると馬鹿馬鹿しい。


今年はちゃんと年末に掃除をしよう。



そう心に決めた。
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