最も危険な  ルームシェア
γ.驚愕の運命
最寄り駅から15分近く歩いた。

低層マンションのため階段だった。

2階へ上がった。

チャイムを押してしばらく待った。

「はい。」

ドアが開いた。

私はすぐに頭を下げてお詫びを言った。

「突然で申し訳ありません。」

相手が何も言わないので

私は腰を曲げたまま顔だけ上を向けた。

「うそでしょ?」

「木村?」

「失礼しました。」

私はまた頭を下げてきびすを返した。

通路でキャリーバックを足にぶつけてもたついた。

「待てよ。」

私は振り向く勇気がなかった。

その場に後ろ向きのまま突っ立っていた。

「なぜ姓が違うんだ?」

滝野さんの声だった。

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