イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 すぐに桃華に電話をかけると、ワンコールもしないうちに彼女が出た。

『これは一体どういう事ですか!』

 桃華はかなり怒っているのか日本語で聞いてくる。

「上司の予定はちゃんと確認しないと。いい教訓になったろう」

 悪びれずに俺は答えた。

 ここまで怒りを露にする部下が今までいただろうか?

 大抵、俺の前でペコペコして本音を隠して辞めていく。

 俺にペコペコする桃華は想像出来ない。

 三回しか会ってないのに、彼女の性格が手に取るようにわかる。

 敵意むき出しの桃華。

 あの目の輝き。

 面白い。

 俺に媚もへつらいもしない。

 今まで俺の周囲にいなかったタイプの人間。

 もっと怒らせてみたいって思う俺は、ちょっとおかしいのかもしれない。

『ええ、良い勉強になりました。王子さまと自分とはちょっとの感覚も違うんですね。よーくわかりました』
< 57 / 311 >

この作品をシェア

pagetop