浮気彼氏から奪うオトコ。
「戻って来いよ」
―1週間後。
相変わらず廣クンとは、話すことがなかった。
柚希とずっと一緒にいたからなのか、功クンといたからか分からないけど。
時折廣クンは悲しげな表情を浮かべていた。
「ほらほら、行くよ!妃鞠っ」
柚希が元気よくあたしを呼んだ。
その声に我に返る。
「あれ、もう放課後…?」
「そーだよ!全く、妃鞠はぁ…」
「あはは、んでどこに行くんだっけ?」
「今日は功ってヤツと、花火大会があるからって、おめかしするんでしょ?」
「あぁ、そうだった」
功クンとは友達のまま。
この1週間、功クンはずっと傍にいてくれた。
泣きそうになったら、静かに抱きしめてくれて。
他愛のない会話をしている内に、廣クンに対して、罪悪感が減っていた。
このままの距離を保つべきか、
廣クンを諦め付き合うべきか、未だに分からない。