【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「はは。なりたくて頑張ってるように見えた?」

そう聞くと、美鈴は小さく首を横に振る。
そう。すれ違ってばかり。言葉も伝えず、私たち家族はなんて浅はかで上辺だけの関係だったんだろう。


お見合いの事は、泣き出しそうな美鈴の顔を見たら、何も言えなかった。
だからそれ以上は聞かなかった。

聞けなかった。

代わりに、食事会に美鈴も行っていい?と聞かれたので頷いただけ。

その後はただ、一緒の布団の中、クスクスと笑いながら一緒に眠る。

手を握って、言葉が足りない私たちは、お互いの温もりを感じ合う。
自分だけが不幸だと嘆いていたら、周りの気持ちなんて見えてこない。
鳥籠から抜け出せたからこそ、美鈴の気持ちも見えてきたんだ。

もう少し、周りが落ち着いたら、二人でゆっくり出かけたい。
一緒に出かけようと言おうと思う。明日、目が覚めたら。
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