【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「美麗! 駄目ですって。ロマンチックにキスしましょうって」

「しませーん!」

とっくに頂上なんて過ぎているし、私だって怒っている。
言葉で伝わらない場合、多少は行動しようって決めた。
ゆらゆら揺れる観覧車。
空に浮かぶ私たちの揺れる観覧車。

キスしようと抱き締めてくるデイビーから逃げる為に向こう側にジャンプするとよく揺れた。
それがとても面白くて、声を出して笑う。
ちょっとだけ、デイビーは真っ青になっていたけれど、私の笑い声に目を細めてくれた。


その後、降りた私たちは、どちらからともなく手を繋ぎ、また観覧車に乗った。

揺らして仕返しをしただけでは伝わらないことを、話すために。
デイビーは私が佐和子さんの下で勉強することをすごく喜んでくれて、だからこそついきつい賭けをしてしまったと心からの謝罪を貰い、私もあそこまで言ってくれなければきっと甘い考えを持ってしまっていたかもと感謝した。

その観覧車の中で、空に月が輝きだすのを二人で見て、頂上で仲直りのキスをした。


夜に隠れて、甘く蕩けるキスを。

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