こんぺいとう

一人旅

飛行機の中で、由月は窓の外を見た。
由月の視界には真っ青な空と白い雲が広がっている。

「この飛行機は間もなくサイパンに到着致します。」
流れる機内アナウンスに由月の心は躍った。

初めての一人旅にサイパンを選んだ理由は特にない。
安くて近い場所を選んだだけだった。
旅行会社でもらったパンフレットとインターネットであれこれ調べているうちに、
サイパンの綺麗な海が見たくなった。

そしてインターネットでサイパンを検索しているうちに、第二次世界大戦の文字が目に付く。
当時サイパンが激しい戦地だった事は由月も知っていた。
特に理由もなく、その内の1ページを開く。
当時の戦争の激しさが分かる資料の中で、目に付いたのは1枚の写真。
映っている日本人の男性に何故か由月の目が止った。
そして、何故か涙がこぼれ止らなくなった。
理由はわからない。
ただ、切なくて胸が痛くなった。

その写真も理由の1つとなり、有給を使ってサイパンへと旅たったのであった。

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