無垢な瞳
プロローグ
僕はこの小さな世界が永遠ですべてだと思っていた。

そしてこの世界から抜け出す術があることすら気づかないでいた。

小さな小舟に揺られたまま、流れに身を任せることが最善だと信じていた。

そして僕の小さな溜息はこの世界では無意味で無力であるにちがいないと思い込んでいた。



まるで世をはかなむ老人のように、僕は水面がただひたすら穏やかにあれと祈って一日を過ごす。

そうやって僕はせめてもの心の安定を維持する。



でなければ、どうやって生きたらいい?

どうやって命をつなぎとめたらいい?





僕の身に降りかかる災いはすべて僕自身のせいなのだ。




だから僕は誰も恨まない。

だから僕は今を生きていける。
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