「燁子様」

甘く低いバリトンの声が私の名前を呼ぶ。

「う…んん」

「燁子様、朝食のお時間です」

朝食、ああ…信夫に朝食を作らないと。

「ちょっと、待って。眠いのよ」

「燁子様、もう用意は出来ております」

あ、そうか。

私はハッとして目が覚める。

現実を確認しようと目を擦りながら上半身をムックリ起こした。

「おはようございます。燁子様」

使用人田中が、朝の爽やかとは合い入れない無表情のままベッドサイドに立っている。

「…おはよう」

「朝食の準備が出来ましたのでお召し物を着られたら、ダイニングへお越しください」

田中は一礼すると部屋から出て行った。

ああ…実家に戻ったんだっけ。

髪をかきあげて、大きな欠伸をした。

お召し物を着られたら…

田中の言葉を頭の中で反芻する。

ハッと我に返るとベビードールは捲れ上がり、ド派手なパープルのランジェリーは丸見え状態。

「ぎゃあああーーーーー!!!」

私の絶叫が館に轟いだ。

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