Sugar&Milk

「若! 学生!?……どうやって知り合ったの?」

「ナンパ……?」

「マジで!?」

ナンパと言っていいのか分からないけど、山本と会話をしたくなくて深く考えずに答えてしまう。

「大学生に声かけるとか、橘も勇気あるね」

「ナンパしたの私じゃないから!」

「へー」

思いのほか食いついてくるので仕方なく山本に経緯を説明する。誰かに恋愛の話をするのも久しぶりだった。

「だからこの後の打ち合わせはあのカフェにしたのかよ?」

「違うよ、それは偶然。カフェを指定したのは先方だもん」

この後中山くんのカフェで取引先との新企画の打ち合わせの約束がある。私は彼氏のいる場所で仕事なんてしたくないけれど仕方ない。

「あのカフェ俺もよく行くけど、どの子? 朝にたまにいる子?」

「多分それは違う子。昼から夜にいることが多いから」

「大学生かー。年下って可愛い?」

「え、うんまぁ……可愛いかな。笑顔がね、すっごく」

「へー……橘は年下派ね」

ニヤつく山本に苦笑いしながら、私はこれ以上山本に画面を見られたくなくてスマートフォンをしまう。

「あとちょっとで出るからな。仕事ついでに彼氏の顔を拝むよ」

山本に年下彼氏を見られるのは嫌だから今日は休みでありますようにと願う。中山くんに何か変なことを言いかねないから。

打ち合わせの時間になると山本とカフェまで歩き、先に席を取っておこうと店内に入ると願いは叶わずレジには中山くんが立っていた。目が合ってお互い驚いたけれど、すぐに「いらっしゃいませ」と言い笑顔を向けてくれた。

「後から人が来るんですが、先に席を取っていいですか……?」

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