店内の照明をすべて消し、裏口から出て店の鍵を閉めた。
店から少し離れた倉庫まで重い段ボールを運ぶ。
エレベーターを使って下りようかと思ったが、車イスの男性がエレベーターを待っていたため、荷物が多い自分が乗り込むのは申し訳なくなり階段で下りることにした。

二つの段ボールを持ちながら下りるのは怖かった。
更にタイミングが悪く後ろから人が下りてくる気配がして焦った。

危ないから端に寄るか。

瑛太は階段の左端に寄ろうとした時、ちょうど左後ろから人が来た。
慌てて避けようと足に力を入れた瞬間、上に載せた段ボールがバランスを崩して落ちた。

やべっ!!

焦って中身を拾うが、階段の上から続々と人が下りてきてしまう。
ペーパータオルの袋が踏まれ、ドレッシングのボトルが蹴られて更に下に落ちた。
瑛太は必死で拾った。

商品を蹴飛ばしても謝りもしない会社員の男に内心舌打ちしながらも、恥ずかしさも会って早く拾おうと焦っていた。

「手伝いますよ」

急に聞こえた声に顔を上げると、店に来たあの女性がドレッシングを持って瑛太の前に立っていた。

「す、すいません…!」

突然で驚いたが、誰一人として気にかけてくれない中で感謝の気持ちが溢れた。

「下まで一緒に運びますから」

拾うのを手伝ってくれただけで十分だったが、好意に甘えることにした。

「すいません」

段ボールを抱えながら、女性の前に立って緊張しながら階段を下りた。



「ここまでで大丈夫ですから」

階段を下りて少し歩き、後ろを振り向いた。

「ありがとうございました。恐れ入ります」

瑛太は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
女性は持っていた段ボールを瑛太の段ボールの上に載せた。

今まではレジカウンターを挟んでの距離でしか見たことがなかった女性は近くで見ると目元に小さなホクロがあるのだと気づいた。

「いえ…それじゃあ」

女性は歩き出した。

せっかく話すことができたのに…また店員と客になる…

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