時間ギリギリで待ち合わせの駅に着いた。
改札の向こうに朱里の姿を確認すると早足で改札を出た。
朱里に笑顔で「お疲れ様」と言われて瑛太は顔が赤くなったのが分かった。

「行きましょうか」

朱里と並んで歩き出した。

「俺今めっちゃ緊張してます。変なこと口走ったらすいません」

「私も緊張してるよ…だから色々とガッカリさせちゃったらごめんね」

朱里の言葉を瑛太は否定する。
ガッカリなんてする訳がない。新しい一面を知れるなら、そんな嬉しいことはないのだから。


瑛太が予約したのはワインとパスタを売りにしている店だ。
ワインに詳しくはないが、ネットで探してかなり悩んだ店だ。
朱里が「美味しい」と喜んでくれたから必死で探した甲斐があった。

「お酒はよく飲むの?」

その質問に瑛太はどう答えればいいか迷う。

朱里は瑛太が20歳になっていると思っているだろう。
瑛太の誕生日は3月だ。
まだ19歳だとはあえて言わなかった。
言う必要はないと思っていた。
そんなうるさく言うことはないだろうし、どうせあと数ヶ月で飲めるようになるのだから。

朱里に会うのに背伸びをした。一緒にお洒落な店でワインとパスタ。お会計は全部瑛太が払った。

「ごちそうさまでした…ごめんなさい出してもらっちゃって」

年上女性にそんなことを言われたのは初めてだ。
自分が大人になった気がした。





駅まで並んで歩き、改札が見えてきた頃足を止め朱里を見た。
瑛太は決めていた。今度こそちゃんと告白しようと。

「一度だけってことで今日来てもらいましたけど、俺はもっと橘さんと会いたいです。カフェ店員とお客さんって関係以上に」

朱里は瑛太の言うことを黙って聞いていてくれた。

「お店で仕事の打ち合わせしてた橘さんを見て、あぁカッコいいなぁって思って。一生懸命で、綺麗で」

「そう…かな?」

「俺…橘さんが好きです。付き合ってください」

ちゃんと気持ちを伝えることができた。これでどんな結果になろうと悔いはない。

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