朱里と手を繋いで駅まで来た。
瑛太は名残惜しくて朱里の手を離せずにいる。

「家まで送るよ」

「大丈夫、私が改札まで送るから。またすぐ会えるでしょ?」

「うん…」

クスクスと朱里が笑う。

「どうしたんですか?」

「ごめん、なんか瑛太くん可愛いから」

「可愛いですか?」

「うん…可愛い」

「朱里さんだって」

「え?」

「反応が可愛いよ」

「そ、そうかな?」

「うん」

瑛太は朱里と向かい合う。
朱里の顔をまっすぐ見て、顔を近づけた。

「ストップ!」

「むっ!」

朱里の手が瑛太の頬を優しくつまむと、少し瑛太から離れた。

「あはりはん、なにひゅるの」

「ここでキスはだめだよ」

「どうひて?」

朱里は瑛太の頬から手を離した。

「人がいっぱいいるでしょ?恥ずかしいよ。バカップルみたいじゃん」

「えー、バカップルに見られてもいい」

「私は嫌だ」

「えー…」

瑛太は不貞腐れた顔をする。
その顔を見て朱里が笑うと、瑛太に近付きぎゅっと抱き締めた。

「ほら、朱里さんだって寂しいでしょ」

「寂しいよ」

朱里は笑って顔を上げると、瑛太の唇にキスをした。
軽く触れるだけのキスをするとすぐに瑛太から離れ

「じゃあまたね」

と言い、顔を赤くしながら自宅の方に歩いていった。
一瞬の不意打ちのキスに惚けると、瑛太も顔が赤くなる。

朱里だって同じじゃないか。

周りの冷めた視線なんて気にならない。
朱里との時間が何より大切だった。











『朱里さんが買うか迷ってた小説を買ってみました。面白かったら貸しますね』

『ありがとー!でも瑛太くんがそばにいるときじゃないと読めないかも…』

朱里からのLINEに瑛太は微笑む。
バイトの前に本屋の前を通り、朱里の気になっていた小説を思い出した。

瑛太はあまり本を読まないが、本の帯の『映画化決定!』の文字につられた。
映画化されるなら面白いのではないか。
そう思い買ってしまった。

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