ふわふわ、ゆらゆら。

とてもいい気持ちで、私はあたたかい空間をさまよっていた。


だけどその心地よさは、唐突に訪れた振動によってあっさりと打ち砕かれる。



「──みや、小宮(こみや)! いい加減起きろ!」

「ふあ……?」



ぱちりと目を開けると、傍らにはなんだか呆れたような表情をした、比嘉(ひが)課長の姿。

先ほど感じた振動は、どうやら課長が私の肩を揺すっていたらしい。私は目をこすりながら、もたれていた壁から背中を起こした。

ため息をついて、比嘉課長が立ち上がる。



「おまえなあ……よくこんな騒がしいところで、そんな気持ちよさそうに寝られるな」

「……ええっと、他の人たちは……?」

「あいつらならおまえがぐーすか寝てる間に、とっとと二次会に行ったぞ」

「そ、そうでしたか……」



ああ、またやってしまった……。

お酒を飲むと眠くなってしまうタチの自分が、会社の飲み会で眠りこけてしまうのはいつものことで。

だけど置いていかれてしまったのは、さすがに初めてだ。眠気のせいで思うように動かないからだをのろのろ動かして、畳の上のハンドバッグを手に取る。



「えっと、ちなみに比嘉課長は……?」

「俺は二次会行かないで帰るつもりでいたら、『じゃあ小宮は任せます』っておまえを押しつけられた」

「……すみませんです」



そうか、課長は二次会に行かないから、ここに残ることになったのか。

でも、たぶん。比嘉課長が同僚たちから私の世話を押しつけられたのには、きっと他の意図もあって。

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