「俺、言ったよな?
ずっと俺の傍にいろよ
後から迎えに行くからって…
もう忘れちゃったのか?涼子…」
「違う、違うよ!?
私、忘れてなんかいない」
「それとさ、俺、涼子に嘘ついてたんだ!
俺が健吾なんだよ?
癌で亡くなったなんて、嘘
全部演技!
看護師も医者も俺に合わせてくれたんだ!
それに、俺には双子の弟がいてさ、亡くなったのは俺の弟の方だから!
どう?俺の迫真の演技!
これも全部…涼子が浮気するからいけないんだよ?
他の男の子供を妊娠してるんだろ?」
「何でそれを知ってるの?」
そう、私はもう健吾とはやっていけないと思い、浮気して他の男と寝てしまったんだ。
たったの一回きりだとそう誓って。
その日は安全日だと思っていたのに、あろうことか妊娠してしまった___
でも、何でそれを健吾が知ってるの?
健吾が双子だったなんて、聞いたこともなかったし、知らなかった。
「だって俺は、ずっと涼子の後を付けていたんだから」
「それって、ストーカーだよ?」
「うるせぇよ
早く涼子もあいつの元にいきな」
「え?どういうこと?」
「俺がお前の浮気した男を殺しておいたからさ!
ははっ、あはははははっ
涼子、さようなら
今まで楽しかったよ」
そう最後は涙ぐみながら言った健吾が、私の首を強く絞めてきた。
「んっ、苦しい、んぐっ、や、止めて
健吾さん………」
私の言葉はむなしく健吾には届かなくて、私は涙を流しながら深い眠りについた。
まぶたをゆっくりと閉じる。