その日だって、いつもと同じ。何も変わらない日常があって、ずっとずっと同じ日が続いていくんだと信じてた。


「ちょ、仁史(ひとし)! それあたしのカニなんですけど!」
「そんなの早い者勝ちに決まってんだろ」

「もう、2人とも。まだ材料はたくさんあるから慌てないの!」

当時中学3年生だった私と仁史。お互いの両親は共働きで、だからか自然にどちらかの家でご飯を食べるのが習慣になってたけど。私は料理が大の苦手で、5つ年上の姉がもっぱらご飯作りを担当してた。


黒髪のショートカットに地味な顔立ちの私と違い、栗色の髪をフワリと緩く巻いてメイクをしたお姉ちゃんは、とても綺麗で優しくて女性らしい。お母さんよりよほど間近で、悩みや愚痴を言うのもお姉ちゃんにだった。

私も仁史も、ううん。お姉ちゃんを知るみんなはお姉ちゃんが大好きだった。友達も多くて、かなりモテてたのは知ってる。


なのに……。


お姉ちゃんが追加の材料を買うためにスーパーへ行った姿が最後になるなんて。誰が思うだろう。


お姉ちゃんは、スピード違反の車にひかれて亡くなった。

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