「ヨリ様、トーンカスがついてる」

「うーん、じゃあイチ取ってよー」

「世話が焼けるな、ヨリ様は」

トレース台に頬をつけたままイチの方に顔を向けると、イチが私の頬に触れた。ロボットに触れられたことは初めてではないが、あまりに人間と近しい肌触りに改めて感心した。

なんとなく、彼の指を握ってみた。

「……なんだよ」

「最新型はすごいなーと思って。何兆個の会話パターンと表情パターンを覚えたら本当に人間と同じように弁護士として働けるんだっけ?」

「18兆9875億パターンだ。今の所達成度は25%……もしこれを達成したら人間とも結婚できる」

ついにロボットが人間と結婚もできるようになったとは……今年1番の衝撃だった。いつか時が経てばロボットと人間の恋なんて珍しくなくなるのだろうか。

「……最近ニュースでやってたね、史上初のロボットと人間の結婚式。相当優秀なロボットだったらしいけど」

「彼は俺と同じ型番だ」

「それでも、ロボットであることに変わりはないし……私もロボットと結婚させられる前に、この前申し込まれたお見合い行こうかな……?」

ーーロボットを作れるロボットももうすぐできるし、人工的に作った精子を人間に受精することも可能になった。ロボットのホームステイだけで賄っている人もいるし、本当に家族のように仲良く暮らしている人もいる。

ロボットと人間は、今、完全に共存しようとしている。

「……ヨリ様は、俺をロボットとしか思えないか」

「中身は鉄の塊なんでしょう」

「俺は、自分をロボットだとは思えない」

「……え」