不純な理由で近づきました。
*人間関係って難しいです




桜も散って季節は夏に近づいてきた。


制服も冬服から夏服に変わってきた今日この頃。


わたしと恭くん、カインくんもそれなりに親しくなったと思う。


お昼は一緒に食べているし、この頃は教室でもよく三人で話している。


それなりの注目は浴びていたけど、そんなに気にならなくなった。


もともと気にしない性格ではあったし、気にしても仕方ないと割りきってしまった。


二人が注目されてたのももともとだしね。





さて、そうこうそれなりに楽しく過ごしていたある日の朝。



「………ん?」



登校して上履きを取り出すときになんだか違和感が。


上履きを逆さまにしてみると。




ザラッ、ザララ、カツン、カンカツン―――




「…………」



あまりにもベタすぎて思わず唖然。


上履きの中に画鋲って……どこの漫画ですか。



はぁ……この画鋲の後始末どうしよう。


とりあえず痛いのは御免なので、上履きの中に画鋲が残っていないのを確認。


落ちてしまった画鋲は近くにあったほうきとちりとりで集めておいた。



……もったいないし、私物化してしまおう。


誰がやったのかも想像つかないし。


ちょうど持っていた袋に画鋲を入れてそのまま教室に向かう。


いつものように席に座ってカバンから本を取り出した。


あの日、恭くんに選んでもらった『blue sky』はとても面白かった。


わたしはもともといろいろなジャンルの本を読むけど、その中でも『blue sky』はすごく純粋で綺麗な物語で。


今ではすっかりわたしのお気に入りの一冊となっている。


他にも恭くんに薦めてもらった本があって、どれも面白い。


たまに、恭くんと二人であの古本屋さんにも行っていて。


もうすっかり本友達だなぁ。







< 45 / 257 >

この作品をシェア

pagetop