「おつかれさまですー」
「お。すずちゃん。今日はやけにめかしこんでるじゃん。デート?」
「・・・小沢さん、言い方がオヤジってます」と私が言うと、小沢さんはガハガハ笑った。

だから、その笑い方もオヤジみたいなんですけど!
この人、私より7つ上の25歳なのになぁ。

「これからカンナギ冷熱の小早川さんと、晩ごはん食べに行くんです。女同士だから、“デート”じゃないですよ」
「あっ、そう。ふーん」と言ってる小沢さんの隣にいる有澤さんは、私をじーっと見ている。

何?私、チェックされてる?

妙に恥ずかしくなった私は、「それじゃ、待ち合わせ時間に遅れそうだから、失礼しますー」と言うと、スタスタと歩き始めた。

「はーい、おつかれー」
「おいすず!」
「ひゃっ!な、なんですか、有澤さんっ」
「おまえはまだ未成年だからな。酒飲むなよ」
「分かってますって!もう・・・おつかれさまです」
「おつかれ」と言った有澤さんの声は、何となく機嫌良く響いたような気がした。

10月9日の金曜日、私はカンナギ冷熱の小早川さんと、初めて対面した。
小早川さんは私より4つ上の22歳で、短大を卒業後、カンナギ冷熱に入社。
それからずっと、エアコン担当をしている。
カンナギ冷熱のエアコン担当は、小早川さんの他に、中原さんという男性も担当している。

メーカーへの発注方法は、私が入社して2ヶ月後に、ファックスからコンピューターに切り替わったけど、在庫の問い合わせや、納期の融通をお願いするとき等、メーカーへ電話をかけることは、いまだにある。

小早川さんとは、最初から気が合った。
右も左も分からない新人の私に、偉ぶることなく優しく教えてくれたり、因幡さんから「どうしてもエアコン1台即納でほしいから探せ!」と難題をふっかけられた私を助けるべく、方々の特約店に電話をかけるのを手伝ってくれたり。
そういうエピソードがあってから、「会いたいね~」という話になって数ヶ月後に、ようやく実現したわけだ。

実は、有澤さんからも、この日晩ごはんを食べに行こうと誘われていた。
だけど、小早川さんとの約束を先にしていたから断った。
そのとき有澤さんは、「誰と」「どこ行く」って、珍しく私に聞いてきた。

「カンナギ冷熱の小早川さん。前から会おうって言ってたんだー」
ということは、有澤さんも知っていたから、「そうだったな」と言ってくれた。

「で?どこ行くんだ?」と有澤さんに聞かれた私は、居酒屋の名前を言った。
そしたら「酒飲むなよ」と言われて・・・。

世話焼きなお兄ちゃんって、こんな感じなんだろうか。
それともやっぱり有澤さんは、「ボスザル」なのか・・・だよね。たぶん。


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