黒色女子を個人授業
都心の駅に隣接するデパートの2階。ブランドのテナントが数多く軒を連ねている。

中でもとびきり華やかな流行りのブランドショップ。


恥ずかしい。

これが私の第一印象だった。


赤やピンクで可愛らしくデザインされた商品も、きらびやかに彩られた店内の装飾も、この空気にそぐわない自分も

何から何まで小っ恥ずかしい。

私一人だったら、こんな店、絶対に足を停めないだろう。


そんな若い女性客がひしめくショップの一角で、私達はあーでもない、こーでもないと押問答を繰り広げていた。

「天野さん、普段、カッチリした服装してるし。
小物はこれくらい可愛くても甘くなり過ぎなくて良いと思うよ」

彼はその乙女チックな財布を手に取り、私の顔のすぐ横に並べた。

「ほら。可愛い」


どう?と首を傾げながら、満足そうな笑顔で私に微笑みかけてくる。

彼の少しだけ長い前髪がフワリと揺れ落ちて、とろけそうな瞳を覗かせた。
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