ふわふわ。

「よかったじゃないの」

「どこがいいんですか。このままじゃ、こじらせ女子まっしぐらじゃないですか」

「いや、まぁ。どっかにいい人がいるわよ。うん。まずは書類に手をつけて欲しいけれどね」

「…………」


そうだった。
残業中だった。

パラパラと書類をめくり、肩を竦めて視線を上げると、倉坂さんと目があった。


「…………」


今の聞かれてたかな。


聞かれてたよね。


絶対に聞いてたよね?


ち、ちがうもん!
私は彼氏もいない干物女子じゃないもん!

単に残業が多くて、出会いがないだけなのよ!


……たぶん。


「残業終わらせて、飲みに行こうかな」

「何、彼氏探し?」

「そんなに簡単にホイホイみつかりませんよ。でも、何もしなかったら何も変わらないじゃないですか」

「そうねぇ。そのセリフ、耳に痛々しいけど、行動しなくちゃ変わらないわよねぇ?」

「はい」


ポチポチキーボードを押しながら、首を傾けるとポキッと鳴った。


「…………」


美容メンテも大切だけど、体調のメンテも必要かも。



女子力低下中女子に、出会いはあるのかなぁ。



そんなことを考えながら、ため息をついた。





< 13 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop