かたつむり

(名前...なんだろう...)

と私が思ったちょうどその時

「僕、奏。奏でるって書いて、奏。」

「そう...綺麗...だね」

片言みたいな喋りになった

まだ敬語を使わないのに馴れてない



そのあとの時間は驚くほど

早く過ぎていった

奏は不思議と私の心を落ちつかさて


甘くする。

「もうこんな時間だ」

「え?っうわ!!ほんとだ!
 私帰らなきゃ!!」

“帰りたくない”

心の何処かでそう感じた気がする

心の奥の奥の奥の隅の方で

消えかかっている霧みたいに微かだけど

そう感じた気がする

「そっか、寂しくなるね」


(また...その声と顔)

「卑怯だよ...それ」

私は奏には聞かれないようにボソッと言った

「奏、あしたここにいるの?」

「あぁ、いつもいるよ。 だいたい4時頃に」


「あしたも 会える?」

私はためていった。

「もちろん、あした、楽しみにしてるよ」

「わかった、じゃま、またね」


私は奏の顔を見ずに走って帰った。

12月の風を思いっきり体に浴びせ

自分の赤くなった顔と熱った体を

冷ますように全力で走った。
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