愛してるの代わりに
プロローグ
☆プロローグ☆




「あ。宮脇慎吾」

同僚の一言に、お弁当を食べる雛子の手が止まる。

「今日も美し~っ!」

「何、アンタ好きなの? 宮脇慎吾」

「好きっていうか……、まあイケメン嫌いな人はいないっしょ?」

同僚ふたりがキャーキャー言っている中心にあるのは、雑誌の中でにこやかに微笑む青年の姿。

彼の名前は宮脇慎吾。

今をときめくトップ俳優のひとりである。

そして、そんな同僚を見つめる崎坂雛子の幼馴染。




長年想いつづけている初恋の人物だ。




相変わらず男前な笑顔を振りまいてること。

同僚に気付かれぬよう小さくため息をつき、雛子はおかずの卵焼きに手をのばした。




思えば片思い歴14年かあ。

雛子が自分の恋心に気付いたのは14歳、中学2年生の時である。

それまでは本当にただの幼馴染にしか思ってなかったんだよな。

あの頃から慎くんは、優しい男の子だったっけ……。




季節はまもなく夏。

雛子が慎吾への恋心を知った季節がやってくる。

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