「ええ?!したの!」

瑞希がギョッとして尋ねる。

英米経済論の講義中だったので、私はシッと人差し指を口の前に立てる。

「で、どうだった…?」瑞希が期待に満ちた目で尋ねる。

「なんか一瞬でよく解らなかった。でも柔らかかった気はする」

「中学生並の感想ね」瑞希は呆れたようにぐるりと目を回した。

「だってキスしたって言ってもさ!」

「へぇ、誰と?」

声の方に振り返るとニッコリと微笑む性悪婚約者の姿があった。

どうやら遅刻してきたようで、手に鞄を持ったまま断りなく私の隣の席に座る。

どこから聞かれていたのだろうか。

背筋がギクリと凍りつく。

「もう、そうやって気配消して近づいてくるのは止めてくれませんか」眉を顰めて抗議する。

「遥が注意力散漫なだけだろう?」葛城は気に留めることなく鞄からテキストを出す。

どうやら、葛城も同じ講義を選択していたらしい。一度も姿を見かけたことはないけど。

「で、キスって誰としたの?」上手く話しを逸らしたと思ったけど、シッカリ覚えている。

「葛城さんはキスがお上手らしいですね。さっき教えてもらっちゃった」

瑞希はフフっと妖艶に笑い、堂々と嘘をつく

唐突な切り返しに流石の葛城は面食らった様子だ。

「遥、そうゆう事は普通人には話さないんじゃないか」引き攣った笑みを私に向ける。

「あら、女性同士は結構エグイとこまで話しますよー?」瑞希はケロリと答える。

「そういうもんか」葛城はイヤそうに目を細める。

葛城を丸めこむなんて瑞希って意外とやり手だ。

「今日バイトは?」

「へ?入ってませんけど」

「じゃあ、俺は3限で終わるから15:00にカフェテリアで待ち合わせしよう」

「どこか行くんですか?」珍しく、というか初めてのデートのお誘いだろうか。

「俺の家」

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