私を惚れさせて。私の虜になって。
すなおじゃなくて
大嫌いな学校から帰ってきて、携帯を覗いた。

来ていた着信は松木から。

【5時塾集合な!】

んー…

【今日私授業ないんだけど】

楽しいと思ってしまう塾は嫌だ。

【いいから来い!】

なんて乱暴な。

理由が雑すぎんだろ。

【だからなんでよ。】

行きたくない。楽しいと思う自分が嫌だ。

…でも、

「友李ちゃーん?」

お母さんの私を呼ぶ声も、嫌い。

【教えて欲しいのがあんだよ】

「コーヒーがいい?紅茶がいい?」

あぁ、もう!

嫌だ、お母さんの声。

だったら、

松木に断ることだってできるけど、

私は、

「どっちもいらない!塾行くねー!」

なんともない風に、リュックを背負って、家を出る。

なんでだか、凄く急いで塾に向かった。

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