すっきりしない気持ちのまま、休日を過ごして出社した。



いつもと同じ時間に店に到着したというのに、既に岩倉君が店の外で窓を拭いている。まずは気持ちよく御挨拶をせねばと脚立の上の岩倉君を見上げた。



「おはようございます、一昨日はありがとうございました」



呼び掛けると手を止めて、ちらりと振り返る。面倒くさそうな顔をするから、また冷たくあしらわれるのかと身構えてしまう。



「おはよう、俺、飲み過ぎたみたいでごめん。無事に帰れた?」



彼の口からは珍しく、気遣うような言葉。ちょっと嬉しいけど変な感じ。山中さんの車で一緒に送ってもらったのに、本当に覚えていないんだろうか。



「はい、山中さんに送って頂いたので。岩倉さんも一緒だったんですよ、覚えてませんか?」

「ごめん、大隈さんも送ってもらったの? 爆睡してたみたいで全然覚えてないんだ」

「私こそ挨拶もせずに帰ってしまってすみません。気持ちよく眠ってたから声をかけそびれてしまって」

「家の前に着いて、山中さんに起こされるまでぐっすりだったよ」



と言って、岩倉君は笑う。宴会の時あんなに鋭い視線を私に注いでいた顔とは一変して、にこやかな笑顔に少し戸惑ってしまう。
飲んで寝たら忘れてしまうタイプなんだろうか。








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