昨夜から冷たい雨が降り続いている。雨足はさほど激しくないけれど、途切れることなくしとしと零れ落ちてくる雫が気分を下降させる。



今朝は高杉さんと仲岡さんが揃って展示会の会場へ出かけてしまったから、岩倉君と私が留守番。
こんな雨の日はあまりお客さんが来ないから心配いらないと仲岡さんは言ってくれたけど、問題はそこではない。



朝から岩倉君とふたりきり。



何を話すわけでもなく、私はカウンターで花の手入れをして岩倉君は事務所で雑務に追われている。お客さんが来たら声をかけてと言ってくれているから、頼りにしているし安心もしているのだけれど。



それでも、やっぱり寂しい。



仲岡さんと高杉さん、早く帰ってこないかなあ……




なんて思っていたら、事務所から岩倉君が出てきた。
素早く花を何本か手に取ってカウンターへとやって来て、小さなバスケットを出してくる。カウンターに広げた花はカラーとスイートピーとかすみ草。



「お客さんですか? 何か手伝います」



思いきって尋ねてみると岩倉君はちらりと振り向いて、何やら考えているような表情。しばらく私を見つめた後、すぐに諦めたように目を逸らしてしまった。




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