鬼部長と偽装恋愛はじめました
それは予想外の返答で、私はア然とした。

「嬉しいんですか? でも、部長って怖いじゃないですか」

私は納得できずにそう言うと、田中さんは苦笑いをした。

「たしかに迫力あるもんな。デキる男の見本みたいなものだし。でも、オレたちが成長できるように指摘してくれてるんだよ」

「私には、よく分からないですけど……。“よくない!”の一点張りですよ」

不満げに言うと、田中さんはハハハと笑った。

「それは自分で考えろってこと。でも、的確な指摘をされるだろ?」

「はい……」

たしかに、部長はおかしいことは言ってないのよね。

言い方が乱暴だから、素直に受け取れないけど、私たちの成長を考えてくれてる……か。

迷いはあったけど、やっぱり部長に頼んでみよう。

とにかく週末まで、時間がない。

腹をくくった私はスッと立ち上がり、部長のデスクへ向かった。
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