「沙羽せんぱーい、お茶いりますかぁ?」
「う、うん」

絵里ちゃんがにこにこ顔で訊いてくるのに、ひきつった顔で答える。
今日の絵里ちゃんは朝からえらく機嫌が良くて、いつもならうまく躱して絶対やらない小さい雑務を、率先して引き受けていた。平山さんにお茶を淹れるよう頼まれると笑顔ではあいと引き受けて、いつもなら裏でめんどくさそうにしてるのに、今日は他の人にまでいりますか、と声をかけている。

結局その場にいた全員に淹れることになって、さすがに一人じゃ大変だろうと私も手伝うことにした。
絵里ちゃんと二人、連れ立って給湯室に向かう。お湯を沸かして人数分の湯呑を用意する間、終始ご機嫌でフンフンと鼻歌なんか歌っている。

お茶っ葉を取り出しながら、我慢しきれず訊いてしまった。

「なにかいいことでもあったの? 今日はずっとご機嫌だね」

訊いた瞬間にぱあっとさらに笑顔になって、キラキラを振りまきながらぐいっと顔を寄せてきた。

「そうなんです、あったんです。何があったか聞きたいですか? 聞きたいですよね? ね!?」

「う、うん、うーん」

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