新年早々。
 玄関先で思わず二度見してしまったそれは、多数の年賀状に紛れ混んでいた『離婚式』への招待状だった。

『初春の候、いかがお過ごしでしょうか。
 さてこの度、互いの明るい未来のため、心機一転、二人別々の人生を歩む事となりました。
 今にして思えば、結婚前から既に身も心も完全不一致の二人だったゆえ、いかな縁結び、八百万の神を持ってしてもこの事態を回避する事は不可能でした。
 つきましては、出発時と同様に再出発の門出を共に温かく見守って頂けますと喜びます。
                       三角啓太 日野凛子(旧姓 三角)』

「……この、ご祝儀泥棒どもめ」
 苦々しく悪態をつきながら、他の年賀状と一緒にそれを束ねる。
 身も心も不一致の二人ゆえ、か。
 言われてみれば、いつも凛子が電話口で吐き散らす愚痴は、一にも二にも『あいつ、ホンマにへたくそで』だった。

 三角(みすみ)啓太。
 彼のセックスが上手かったのか下手だったのか、あるいはそれ以前に彼が「難あり」だったのか、十年前の私には正直、解らなかった。

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