『御出席』と『御欠席』の御の字に縦線を引く。次に、欠席の文字を円で囲んだ。どうせなら花丸で囲んでやれ、とテーブルの向かい側でお雑煮を食べながら彼が茶化す。
 確かに、新春早々から不快な目には遭ったけど、さすがに同じ土俵に上がることはしたくない。それに。
「ちょい、貸して」
 ペンとハガキを彼の方へと送り出すと、彼は嬉々として何かを書き込みだした。彼の想いがはっきり解って、私の中で凝っていた蟠りがとけたからだろうか。むしろその切っ掛けを作ってくれた彼らには感謝すらしているのだから、自分のお人好し加減にはほとほと呆れてしまう。
「ほれ」
 彼がペンとハガキを戻してきた。
 差出人欄は、既に私がここの住所と私の名前を記入していたのだけど。
「あー、久々に喰ったぁ。やっぱ旨いわ、うちの雑煮は」
 私の氏名の隣には、彼の氏名もちゃっかり書き込まれていたのだけれど、も。
「……いや、あの、え?」
 私の視線は、彼の氏名に釘づけになっていて。
「ほんじゃ、そろそろ行こか?」
 それどころじゃ、ない。
「ハガキ、出しに行かんの?」
 でも、あの、これは。
「んで、ついでに役所も寄ってくか」
 や、役所って。
「あ、でも今、松の内だからあかんか」
 でもその前にまずは……、とか言いながら彼はどこかに電話をしだす。会話の感じだと、明らかに私の実家だ。

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