さよならさえ、嘘だというのなら

大西七瀬(おおにし ななせ)

俺の幼なじみで
高校に入って可愛くなったと評判の女の子。
健康的な肌の色
短い髪がよく似合い
人懐っこい笑顔が魅力的で誰とでも仲良し
元気で明るく
誰からも好かれる女の子……らしい。

子供の頃から見てるから
感覚がマヒして
そんなに
カワイイって気にもならない

まぁ普通……。

部活も一緒で話しやすく
俺としてはただの幼なじみなんだけど

周りは俺達がデキてるとカン違いする奴らも多くて

それは大人達も一緒で


かなり
めんどくさい。

蝉の声が暑さを倍増させる。

流れてきた汗を拭きもせず
俺はまた丘の上の洋館を見上げると


ふと

視線を感じた。

草取り業者は奥へと進み
後姿しか見えない

引っ越し業者は忙しそうに動き回り
俺を見ている暇もない

背中に変な汗をかき
脱水症状一歩手前の気分で頭がクラクラする

ヤバい
早くここから出よう。

俺は自転車のペダルを踏み込み
自分にまとわりついた視線を剥がすように、思いきりスピードを上げて七瀬の後を追った。







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