【超短編 03】占い師の3つの質問
「それでは今日、あなたは何を食べましたか?」
「カレーです。昨日の晩御飯の残りでオクラとトマトと鶏肉が入っているカレーを食べました」
 僕はこの占い師が出す質問の意味を考えながら、しっかりと思い出して答えた。彼女はまた薄笑いを浮かべ、最後の質問をした。
「あなたは今日、自分の家からここまで何歩で着くことができましたか?」
 これはどういったことだろう。この質問に僕はどう答えることが正解なのだろうか。占い師は17728歩だと言っていたけど、僕にはそれが本当かはわからない。彼女を信頼するなら、そのまま答えるべきだろう。鵜呑みにしてはいけないという姿勢ならさっきと同じ返答をするべきだ。それとも、僕がちゃんと彼女の話を聞く人間かどうかチェックするためのテストなのだろうか。それが一番尤もらしい気がする。
「17728歩です」
と僕が答えると、彼女は満足そうにこう言った。
「私、いくつに見える?」
 なるほど、彼女の痴呆の介護には少し手間がかかりそうだ。


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