コンプレックスさえも愛されて。




「もう、これ以上は待てない……泊まったら俺、沙耶香を抱くから…」

あっさりと、とんでもなくストレートな言葉を口にする彬さん。
それでも、抱き締められても、キスをしても、いつでも規則正しかった彬さんの鼓動が、いつもと違う事には気付いてるから。





この時私は、彬さんとのはじめての休日が嬉しくて、そんなに深くは考えなかった。
勿論、あれだけハッキリとした言葉を口にされたのだから、それなりの心構えをしないといけないのは分かっているけど。


それらの事に気付いて、一人でパニックに陥ったり酷く悩んだりするようになるのは、だんだんと土曜日が近付いてくる頃の事だ。






そうして、漸く冒頭。
露天風呂付き客室を予約したと、嬉しそうに話しながら運転する、その横顔に気が遠くなりそうだった。




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