コンプレックスさえも愛されて。


それから三十分くらい待って、漸くお蕎麦にありつけた。
天ざる蕎麦と天ざる蕎麦の大盛。


どうしようかな、って思たけど、髪を纏めて結わってから、いただきます、と手を合わせる。
二人一緒に啜ったお蕎麦は、目玉がまん丸になって驚くくらいに美味しかった。





近くにあるオルゴール美術館を見て、そろそろチェックインできそうだから、って旅館に向かう。
高速を降りてから彬さんの左手は、私の腿の上で、私の右手と繋がりっぱなしでドキドキする。



恥ずかしくて彬さんが見れなくて、窓の外に視線を向けるけど、結局私の意識は全部全部彬さんに向かっていて。
チラッと盗み見るようにして運転している横顔を見れば、沙耶香?って気付かれてまたドキッとした。





< 18 / 38 >

この作品をシェア

pagetop