ワンルームで御曹司を飼う方法

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 秋の陽はつるべ落とし。

 時計の針が4時を回ると部屋はすっかり夕焼け色に染まる。私はオレンジ色の窓際に座って、さっそく借りてきた小説を堪能していた。キッチンでは鍋がコトコトと音をたてて、今夜の晩ご飯カボチャのシチューを優しく煮込んでいる。

 なんてのどかで平和な時間。時々は寂しくなる事もあるけど、やっぱり賑やかな生活より静かで穏やかな毎日が私には向いてるな。……なんて、傾いてきた西陽に目を細めてた時だった。

「……ん?」

 窓の外に2台の車が停まったのが見えた。

 その何気ない光景は全然普通ではなくって、私はサーっと顔色を変える。だって何がおかしいって……雑多な住宅街には似つかわしくないピカピカの黒塗りストレッチリムジンが2台も、このアパートの前で停車してるのだから。

 車から運転手とスーツを着た数人の男女が降りたかと思うと、一台の後部座席を囲うように集まり恭しく頭を下げる。そして、開かれたドアから降りてきたのは、まさかと云うか案の定というか。

「おつかれ様でした充さま」

「はいはい、おつかれ」

 ぎゃーーー!!!やっぱり!結城社長だ!!

 仕立てのいいピンストライのプスーツに身を包んで、朝出て行った時とは違い髪をリバースに流したビジネススタイルの社長が風格たっぷりに堂々とリムジンから降りてくる。

 その光景を目に映して、私はさっきまでの平穏な日常が壊れる音が聞こえた気がした。

 
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