*スケッチブック* ～初めて知った恋の色～

「うん。これで叩いて」


そう言ってニッコリ微笑む先生。


え……。

ええええええええ！

そんな時代錯誤な……。

今時、黒板消しを叩いて掃除するなんて、あまり見ない光景だよねぇ。


でも、しょうがないか……。


わたしは窓を開けてほんの少し身を乗り出すと黒板消しをパンパンと叩いた。

チョークの粉が舞い、ちょっとむせる。


「こほっ……こほっ……」


その時ふいに、目の端に見覚えのある人達の姿が入ってきた。


あ！

あの人だ！


うわぁ……夏服だぁ。

シャツのボタンを一つ外して、ルーズに巻いたネクタイ姿が新鮮だった。

その姿になぜかほんの少し鼓動が高まる。

さらに身を乗り出して見てしまう。


あ……。

うそっ。

目……合ったかも……。


思わず慌てて目を逸らしてしまった、その時……。




「き……きゃああああああああ……」