*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「そっか……」


サトシは中庭を眺めながらつぶやいていた。



「で? ちぃちゃんにはいつ言うん? 今日か?」


「うーん。 まだいいかな」


「なんでやねん?」


「ゆっくりでええねん。あの子には……。急いで捕まえようとしたら逃げられそうやから」


オレは笑いながらそう言った。


「たしかにな」


サトシは身に染みてるんだろう。

しみじみとそう言った。


「けど、そんな余裕かましてたら、他にもってかれるで?」


サトシは、少し意地悪そうな顔をして聞いてきた。


オレはそんなサトシに自信満々な笑みを浮かべて言った。


「大丈夫。あの子の周りにどんだけ男がおっても、負ける気せーへん。 あの子はオレのことしか見てないって自信がある」


「ゆーてくれるわ」


サトシは呆れ顔でそう言い、渡り廊下を去っていった。





そう。

何故かオレには根拠のない自信があった。


彼女がオレだけを好きでいてくれる自信。

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