「久しぶりに帰ってきたと思ったら、なんの冗談よ、ひとみ」

…目の前にいる母が私と金崎部長を交互に見比べている。

母の横にいる父は、黙って私の顔を見ている。

…退院して間もない日曜日。私と金崎部長は、私の実家に挨拶に来ていた。

突然の結婚、しかもその相手が、間もなく社長になろうとしている金崎部長。

…母は、嬉しさ半分、不安半分のようだった。

「…突然の結婚で、しかも、私みたいな男が相手で、お父様もお母様も、驚かれるのは当然です。

…ですが、ひとみさんを思う気持ちに嘘偽りはありませんし、これこら、一生大事にしていきたいと、思っています」

「金崎右近さんと言ったね。貴方みたいな大層な身分の方が、たかがサラリーマンの私の娘では、釣り合わないのではありませんか⁈」

黙っていた父が、静かに喋り始めた。

「そんなことはありません。ひとみさんは、とても純粋で聡明な女性だと思います。こんな私にも、身分関係なく、自分の意見をしっかり言ってくれる、そんなところに惹かれたんです。

ひとみさんがこうなったのも、ご両親が、愛情一杯に育てたからこそ、こんなに素敵な女性になったんだと思うと、尊敬します」

真剣な面持ちで、金崎部長は父に言った。

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上司  部下  不機嫌  ドジ 

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