思葉が聞くと、永近は不満げに眉根を寄せて最近購入したてのスマートフォンを取り出した。


もちろん高齢者向けの仕様が優しいものだ。


長く出掛けるなら持って行ってと思葉が説得したのである。



「わしを何だと思っておる、もう完璧じゃぞ。


電話とメール、あとインターネットは少なくとも使える。ほれ、見てみろ、ここのボタンを押せば」


「分かった分かった、よぉっく分かったから、それなら安心だよ。


あっ、おじいちゃん、早く行かないと。バス行っちゃうよ」


「む、いかん」



台所に立つ柱時計を見て、永近が急いで靴を履く。



「行ってらっしゃい」


「ああ、行ってくる」



永近が庭から出るのを見届けてから、思葉はドアを閉めた。


言われた通り鍵を閉めて階段を駆け上がる。



「今朝は慌ただしいな、何かあるのか?」



パソコンの画面を眺めながら玖皎が尋ねてきた。


今日視聴しているドラマは三年前にブームだった、中高一貫校が舞台となっている学級裁判だ。


画面を覗いてみると、検事役の高校生が情報収集をしている場面だった。


学校がどういうところなのか質問されたので、答えの代わりに見てもらっている。


すっかり引きこもりニート生活だと思っているのは内緒の話だ。



「おじいちゃんが今日から一週間、海外旅行に行くのよ。


骨董品店を経営している中で仲良くなった、博物館や美術館でで働いている人たちと4人でね」




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